説明
: 富士山を仰ぐ旅装の僧図を「富士見西行」という。西行は鳥羽上皇の信任厚い北面の武士で学識があり、弓術・兵法に通じ、和歌に堪能であった。立身出世を目指さず、俗世間を離れて保延六年(1140)仏門に入りのち法名を西行とした。一蓋(がい)の編み笠、一本の杖を友として諸国を歴遊し、山水風月を愛し、「風になびく富士のけぶりの空に消えて 行方も知らぬ我が思ひかな」と和歌を詠んだ。元春は泰山氏。江戸後期、常陸国水戸住。二代元孚の門人。本作は構図、彫、色金の使い方巧みで情景豊か。2010年保存刀装具審査合格。