説明
: 本作は、茶研出鮫皮巻鞘(ちゃとぎだしさめがわまきさや) 九八式(昭和13年制定)陸軍制式軍刀。「九八式軍刀」とは、昭和13年に制定された陸軍制式軍刀。昭和9年制定の九四式軍刀ののちに導入された軍刀で、腰から吊り下げるための環が、九四式軍刀の2つ環から、九八式軍刀では1つ環になった。鞘は、鉄やアルミ、革・鮫皮などを巻いた木鞘等があるが、発注者の資力次第と言われている。本作は高額で極上といわれる研出鮫皮巻鞘。また陸軍軍刀の場合は階級により刀緒(とうちょ)の色が変わる。本作は、絹糸平織状の茶色基調に裏地が緋色であることから佐官(少佐・中佐・大佐)の佩刀。刀身は、江戸前期の加賀国信友。友信の遠祖は京信国で、初代信国は天正三年(1575)に越前から加賀に来住といわれる。信友の名跡は明治期まで十代におよぶ。本作は作柄や銘振りから江戸前期の信友五代と思われる。本作は資力ある佐官が佩刀した貴重な品。