説明
: 下原康重に極められた平造り脇指。下原鍛冶は北条一族が滅亡した天正十八年(1590)以降、徳川家に従い武州八王子周辺の旧領を安堵され代々継承し明治にまで作刀が及ぶ。50工以上の銘を遺すが、本作極めの康重、周重(ちかしげ)、照重、広重の四工が代表家。作風は小田原相州に似る。また如輪杢という杢目肌が鍛えに表れる。本作極めの康重は、古刀期天文より幕末まで十二代続く。本作は地刃の特徴と実用的で力強い姿から末古刀。たなご腹と如輪杢に加えて出来の良さから下原棟梁格の康重極めは妥当。上等の黒呂単線塗込鞘拵が付されている。2025年保存刀剣審査合格。