説明
: 市毛源左衛門徳鄰(のりちか・とくりん)は安永六年(1777)常陸国茨城郡生まれ。寛政六年(1794)水戸藩士久米長徳に入門。後に摂津の尾崎助隆に入門。文化六年(1809)助隆同門の直江助共と同時に水戸藩工を命ぜられる。天保元年(1830)上京して伊賀守金道の斡旋で近江介を受領。天保六年(1835)59歳没。本作は、腰から上の棟側を削いで棟を僅かに残す変り形の造込み。特別な注文を受けた作であろう。小板目良く詰んだ地鉄に、小沸が付いて匂い口が深い穏やかな湾れ調刃文。水戸新々刀随一の刀工で作品希少。徳鄰らしさが存分にあらわれた出色の出来栄え。徳鄰49歳、円熟期の傑作。2004年審査保存刀剣を2024年12月審査で特別保存刀剣に昇格。